Aクラス麻雀 (双葉文庫)
紛失したのが1冊,友達に譲ったのが1冊,自分の1冊で計3冊も買っちゃいました。出会いは雀歴5年の時で,自分ではまァ打てる方かーなんて思ってたんスが読んで目からウロコがポロポロ...。深い。ここまで考えることがあったかと驚愕&脱帽。雀歴16年の今もまだまだ学ぶことテンコ盛の麻雀バイブルです。振ってないのに勝てない,そりゃ自分の手が早いとき以外全部オリてちゃトップ率は25%にしかならんわなー。逆に全ツッパがトップ目に遠いのもこれまた真。如何にして相手をくさし,選択肢を狭めさせ,自分がアガるか。「相手の運がひとつ減ると自分の運がひとつ増える」というのはそういうことを言ってるのではないかと思います。内容紹介はさておき実戦に使えるか?ですが,これで勝てるぜ~と意気込んで望んだ一戦は見事敗退。だってみんな理屈どおり打ってくれるわけじゃないもんなー。が,10戦6勝はできなくても100戦60勝には近づく一書。オススメ5ツ星です。
麻雀放浪記 [DVD]
焼け跡も痛々しい敗戦直後の東京を舞台に、主人公坊や哲が博打の世界を通して成長していく様を描いた好作品。この作品の魅力は阿佐田哲也の原作の良さは言うまでもないが、出演してる役者達の素晴らしさに尽きる。特に出目徳役の高品格の演技は最高である。モノクロの日本映画ということでウェットで人情的なものを期待すると痛い目に遭うので注意が必要。何しろこの映画に登場する人物は「いい人」がいないのだから。ただ騙しても裏切ってもそれが当たり前の世界で本人達には罪悪感が無くカラッとしているので何だか憎めない。「死んだ奴は負けだ」というドサ健の言う通り、自殺者が3万人を越える今だからこそ見るべき、日本人がギラギラしていた時代の生の賛歌。
うらおもて人生録 (新潮文庫)
数多くある色川武大氏の作品の中で、とにかく、愛が込められた作品だと思います。
幅広い人脈を持ち、様々な経験と想像を持った筆者にしか書けないリアリティと説得力があり、ふとした時に何度でも読み直して、自分の血に細胞に染み込ませたい、まさしく一生ものの作品だと、個人的にはそのぐらいの価値があると確信しています。
その年代で読む人は少ないのかもしれませんが、あえて十代の方に向けてお薦めしたい作品でもあります。
深く優しく、これからの人生を支えてくれる筈です。
いねむり先生
伊集院静氏の自叙伝(的小説)ですが、単に直木賞作家の著者と芥川賞作家の色川氏との文壇界の先輩後輩の話ではありません。
我々一般人と同様に自分自身の心を救ってくれた方がたまたま色川氏という作家で阿佐田哲也という麻雀の神様であったという話。
小説としては「事実は小説より奇なり」と言われるような話なので面白いかどうかは読む側が何を求めているかによると思う。
作者の人生の中でとても大きな存在であった先生色川氏に巡り会えた幸せを感じます。
因みに文中のKさんは漫画家の黒鉄ヒロシさん、歌手のIさんは井上陽水さんです。
最後に著者が雑誌のインタビューで答えていた言葉をご紹介。
(主人公の)サブローは無条件で先生のことを敬愛していますからね。見返りを一切求めない無償の敬愛です。
今ほとんどの日本人が間違っているんですが、友情っていうのは何でも打ち明けられる関係のことじゃない。
むしろ相手と相手の心に入り込まない、それが一番大事。夫婦も同じですね。
本当の素晴らしい友人関係、師弟関係っていうのは人から見ると冷たく見えるくらい距離がある。べったりしたものは必ず別れますから。