宿命の交わる城 (河出文庫)
とにかく、構成方法がとてもおもしろい。
文学なのに、登場人物は言葉では語らない。
言葉は一言も発せられず、彼らは自分たちの物語をタロットカードで語りだす。
どんな人の人生もそれぞれに物語で、その物語が重なり合って、またひとつの大きな物語になる。
そんな壮大な世界と物語が、一枚のタロットカードに、一冊の文庫本に収まっているのが、なんだか不思議でもあり、おもしろくもある。
☆ひとつマイナスなのは、本のサイズが小さいところ。
この小説は、ハードカバーの方が雰囲気が出るだろうと思う。
もちろん、単行本だからこそ、今私が手に取ることもできるわけだが。
なぜ古典を読むのか (河出文庫)
イタリア人作家による、古今東西の古典を自由自在に論じたエッセイが32篇。表題「なぜ古典を読むのか」という、カルヴィーノらしい軽妙なエッセイが巻頭に置かれ、その後は「オデュッセイア」、オウィディウスから「ロビンソン・クルーソー」「パルムの僧院」、バルザック、トルストイ、そしてコンラッドやヘミングウェイ、ボルヘス、レーモン・クノーまで、取り上げられている作家・作品はさまざま。ガッダ、パヴェーゼなどイタリア人作家を取り上げた文章も比較的多いのが、イタリア文学好きには貴重です。
訳者あとがきによると、これらの文章はもともとイタリアのエイナウディ社の文学叢書のまえがきとして書かれたものが多い、とのこと。その訳者は須賀敦子さん。本書でもすばらしい訳文を堪能させてくれます。
カルヴィーノ好き、そして文学を愛する人必読の、贅沢なブックガイドです。
【VHS発掘隊】 悪魔が最後にやって来る! ~原発ホラー~ [DVD]
イタリアの職人監督アルベルト・デ・マルチーノ(シシリアンマフィア・72年、ビッグマグナム77・76年)が、
ハリウッドのビッグスター、カーク・ダグラスを主役に迎え撮った作品。
原子力発電計画にオカルトサスペンスの恐怖をプラスしてスリル満点に描いている。
アイディア溢れるストーリー展開はさすがイタリア映画だと思わせてくれた。
単なるオーメンの模倣作で終わらせていない所にも好感が持てました。
ヒロインのアゴスティナ・ベリ(非情の標的・73年)は魅力的で大変良く、
70年代のイタリア娯楽映画の中でも外せない一本です。
愛の嵐-無修正ノーカット完全版- [DVD]
多くの人々のリクエストに応え、遂に「愛の嵐」が再販となります。前回の発売とは異なるモノクロのジャケットが一層退廃的に見えます。オークションでは7000円ぐらいで普通に取引されていましたが、もうその必要はありません。安く買えます。言わずと知れたカヴァーニの衝撃の愛の名作を、無修正のノーカット完全盤で鑑賞しましょう。そして、ふたりの主演俳優の強烈な演技に心を奪われましょう。
感想がどうあれ、ご覧になっていない方、一度は見るべき作品です。
イタリア民話集 上 (岩波文庫 赤 709-1)
イタリア旅行後、イタリアについて更に知りたいなと思っていた矢先に
書店で発見、早速購入し読んでしまいました。
本書上巻には33話が掲載されており、登場人物の勇気や叡智を称賛し
幸福を手にする結末が多いので、絵本を卒業した子供に読み聞かせるのも
楽しいのかなと思います。ただし、多少話に毒が含まれていたりもします。
幸せを手にした主人公がその後ぽっくり逝ってしまったりするので・・。
世界の民話を知りたい方や、イタリアについて興味がある方はイタリア人の
気質をうかがい知る一つのアイテムとして手にするのも良いのではと思います。