サテリコン [DVD]
イマイチではないのでしょうか。
お気に入りの「サテュリコン」が映像化されているらしいと最近知り購入したのですが、うーん…。
原作があるものが映像化されると往々にして何かしら不満が出てくるものですが、これは特にがっかりが多かったです。
※特にギトン(映画ではジトーネ)がアスキュルトス(アシルト)についていったっきりエンコルピウス(エンコルピオ)の元に戻らなかったところが残念。
これはもう「サテリコン」という新たな一つの作品だと思ってみたほうがいいですね。 そう見ると映像と音楽はなかなか目を楽しませてくれます。特に秀逸なのは神の子!人間とは思えない美しさと不気味さを兼ね備えた子です。この子を見る為に買ったんだと思うなら惜しくはありません。
しかし総合評価としては☆3です。
サテリコン [DVD]
フェリー二です。奇抜です。醜いです。しかし圧倒されます。
古代ローマを舞台にエンコルピオという青年の冒険を通して描かれる、赤裸々な欲望と肉欲と奔放と空しさの絵巻。どこからともなく湧き出てくる快楽を求める人々のデカダンス炸裂の描写が凄まじい。インドのバラモン教的絵画、バリ島の伝統舞踊ケチャックダンスの合唱、古代西アジア的儀礼、アフリカの民族音楽の使用など、西欧文化にこだわらず古代的なものや前近代的なものをすべてミックスした異郷の香りふんぷんたる雰囲気作りとそれにまつわる創意工夫が面白い。
ビスタサイズの大画面をあますところなく使いきり、それぞれのシーンが完璧にフレーミングされている画面構成はどこを切り取っても絵画的に完成度が高いところはさすが映像の申し子フェリーニ。また、随所に配された、太りきった人々、ならびに身体的な特徴が際立った人々の登場がフェリーニが愛した人の世の多様性をいやがうえでもかもし出し、これが作家の映画であることをことさら強調します。
あえて難を言えば、演技に特筆すべきところが無かったこと、全体のストーリーにもう少しなめらかな連動性がほしかったところが挙げられるでしょうか。こうしたあたりが強化されていればさらに優れた作家的抒事詩に成りえたのではないかと思える作品です。
演技の巧みさやストーリーを堪能するのではなく、あふれ出てくるエネルギーを浴び、映像の魔術に圧倒される作品としては記憶に残る一本です。
ザ・エイジ・オヴ・ネロ
コンピレーションCDに収録されてた“Fuel For Hatred”でSATYRICONを初体験、その邪悪にしてキャッチーなブラックメタルに心奪われ、前作『NOW,DIABOLICAL』や雑誌のインタビューを見聞し益々フェイバリットバンドとなりました。2年ぶりとなる今作は暴君ネロを題したコンセプトアルバムですが前作同様のSATYRICON流メタルが一貫しており肩肘張らず気軽に(?)聴ける内容となってます。EMPEROR亡き今となってはSATYRICONは貴重な存在death。
サテュリコン―古代ローマの諷刺小説 (岩波文庫)
意外なくらい楽しめた。あまり期待していなかったからかもしれないが。
皇帝ネロの時代、1世紀ごろに書かれた小説ということだが、文体だけに着目するなら現代の小説とそれほど変わらない。むしろ、コミカルに人物や出来事が描かれている分だけ、通常のリアリズム文体から発展した、最近の日本のエンタメ小説と似ている、ともいえるかも。ただ、詩や俗語表現も含め、表現の幅は広い。
ストーリーについては、破損も多く、一部のみの訳でしかないのでなんともいえないが、人物が生き生きしているのが何よりも良い。一般的に小説の楽しみ方は、ストーリーとキャラクターだが、古代ローマの風習を描いた風俗小説としての楽しみが(誇張されている部分はあるにしろ)ありつつ、キャラクター(人物)を楽しむことができる。まあ、2000年くらい前のものなのだから、と個人的には破損は許容している。
「風刺小説」であるがゆえに、生真面目な作品ではない。下品なくらいだが、性愛という部分は、今も昔もそれほど変わらないのでは、と感じた。サドだとか、カサノバだとかが好きな人には間違いなくお勧め。