志村貴子作品集 かわいい悪魔 (Fx COMICS)
「放浪息子」「青い花」の連載で知られる志村貴子氏の短編集。
「放浪息子」の初期とも言える2004年頃から2009年にかけての漫画になりますので、作品ごとの絵の変化が見て取れます。
彼女の行間を読ませるというか、全てを語らないという手法は「短編」よりも「長編」でこそ発揮されるような気がします。
だから、一編一編はあまり記憶に残らない出来栄えかも。
最近の著書の巻末の後書きに「スケバン風女の子」が度々登場していることから、
次回作でテーマにしようと考えているのかもしれませんね。
要チェック!です。
青い花(7) (エフコミック) (Fx COMICS)
奇跡のような告白で、幸せ満開だった6巻でした。
続く今巻では、表向きは順調なステップアップする2人の関係の裏で、不安の種も芽吹き出します。
初めての「お付き合い」で戸惑うあーちゃんを、「びっくりしないように」大事に大事にしているふみちゃんには、前巻の「大事なこと」や、#43でポンちゃんの脚本にあった一節があるために今や強さすら感じるのですが…。
自らをミーハーだというあーちゃんが、お嬢様学校の藤が谷に対する思い入れを語るシーンが、不安感の始まり。
大事な友達の大事な想いに応えようとするあーちゃん。でも、何をしたらいいか分からない彼女は言います。
「ふみちゃんのしたいことしていいよ」
すると
「わたしもあーちゃんのしたいことしたい」
言葉を追うだけなら、愛を確かめ合う恋人たちの会話にも聞こえますが、前話からの流れだともう、ハラハラして見てられない…。
自覚してしまった不安を振り払うかのように性急に行動しだすあーちゃんを見てると、自分の10代の恋愛を思い出すようで焼け死にそうですよ!
ふみが望み、そうあろうと決意したように、2人の想いが大事にされ、ゆっくりと育ってゆくのを願ってやみません。
けれど、物語は藤が谷入学から始まり、そして今2人は三年生。
箱庭のような舞台で進んできたお話を考えると、カーテンコールはそんなに先のことではないのでしょう。
京子のエピソードもほぼ語られ、日向子と織江の関係にも一つの決着がつき、卒業のときは刻一刻と近付く7巻、次巻がどうなるか楽しみ半分、怖さ半分です。
この巻一番の見所、「アンニュイに窓際に座るあーちゃん」が見られるだけでも一読の価値あり。
ちゃんと少女マンガのヒロインに見える(笑)!
父と娘のうた
今ラジオ付けたらこの曲が流れてて釘付けになりました。あまりに引き込まれたので、この感動が消えないうちに書き込みたいと思い、まとまりない文章ですがレビューに残します。ゆっくりしたテンポで落ちついて聞けるメロディ、そして、大津さんの伸びやかな声が曲に非常にマッチしてます。さらに、歌詞が秀逸。思春期の頃感じた親と接する難しさ、そして、それ以上に社会で生きていく厳しさを感じて理解できる過去の父の姿。自分が大人になり、振り返ってみて親に対して感じる(感じていた)こととかぶっていて共感できます。親子の絆、家族の良さと暖かさを想い起こしてくれます。しみじみと味わえる歌詞とメロディと声。すごくいいです。この曲聴きながら飴玉なめてがんばろうって思いました。ぜひ、聴いてみてください!!
放浪息子 13 (ビームコミックス)
12巻終盤から始まった高校生編。登場人物それぞれに新たな出会い、変化が訪れます。
彼らが何を経験してどのように成長していくのか、どきどきしながら読みましたが、
同時に何だか寂しい感じを受けました。
他の方のレビューにも書かれているように、物語のはじまりには小学校高学年だった登場人物たちは高校生にまで成長しました。高校進学にあたり中学校時代の仲間はばらばらに。共通の空間であった学校が別れたことによってお話もキャラごとの個別エピソードのようになってきました。
高校生編に入っても中学生編で描かれた登場人物たちの絆、人間関係にノスタルジーを感じてしまって、新たな生活を過ごしていく登場人物たちを見ていると置いてけぼりになったような寂しさを感じます。
成長していくにつれ世界は広がっていくのですから新たな登場人物が出てくるのは当然なんですが、新キャラはいいから今までのキャラの絡みを描いてくれ〜と思ってしまったり。今までの物語の主軸だったと思われるニ鳥くんと高槻さんの関係が薄くなって、二人が互いを意識することがほとんどなくなってしまっているのが特にさびしい。
こんな風に寂しく感じてしまうわけですが、それは小・中学生編が素晴らしかったからだし、中学生編を延長する流れでいかないのは登場人物の成長・変化をしっかり描くためでしょう。ニ鳥くんもいつかは男性として成熟しかわいい女の子ではいられなくなるという残酷さの予感が放浪息子の魅力の1つだと思いますが、それはニ鳥くんに限ったことではなく、誰しもに否応なく訪れる成長・変化にはいわく言い難い残酷さがあるのでしょう。それぞれの道を歩んでいく彼らの道がどのように交差していくのか、寂しさを感じつつも楽しみにしています。