いとこ同志 [DVD]
処女作「美しきセルジュ」(57年)と対を成す作品と言えますが、シャブロルは前作で得た好評(と資金)をバネに、より大胆に伸び伸びと製作したように感じます。どのシーンも活き活きと力強く、全編テンポ良いリズムで展開して、傑作の名に相応しい。
主演の二人もこちらの方がハマリ役だし、モダンジャズとモーツアルトやワグナーの音楽も効果的に使われています。主に2箇所で見られる大胆なパン撮影も、当時の制約から解放されたものだったでしょう。ストーリー自体も容赦ない現実を突きつけています。
いとこのポール(ジャン・クロード・ブリアリ)を頼って、進学のため田舎からパリに出てきたシャルル(ジェラール・ブラン)。二人は同じ学生でもあったが、シャルルが母親の期待を一身に背負って生真面目な一方、ポールは大金持ちの叔父から預かった豪華なアパートメントで享楽的な生活を送っていた。
ポールが早速シャルルを高級スポーツカーに同乗させ、パリの名所案内をするシーンは、まさにヌーベルバーグ的な躍動感!ゴダールも羨ましがったに違いない。
ポールの乱れた交友関係が明らかになるにつれ、次第に本性を現してくる都会のデカダンス。シャルルが勉学に励みに来たつもりのアパートメントで夜な夜な繰り広げられる乱稚気パーティーとその後の倦怠は、初めて若き当事者たち自身によって活写されたことによる生々しさを伴って、ヌーベルバーグの真骨頂を表しています。
ポールたちの刺激の強い毒気に感化されながら、シャルルは勉学と恋に心を砕くのだが…。
実はハッピーエンドも用意されていたというラストシーンは、唯一やや劇的な演出となっていますが、それがより結末を印象付けると同時に、フィクションであることを呼び覚ます効果もあるように感じます。この場面こそ、恐るべき若者たち(ヌーベルバーグ)が戸惑いながらも、旧来の価値感を死に追いやった瞬間ではないでしょうか。
いとこ同志 全集 [DVD]
原作は横溝正史の三首塔で、ヒロインは島田陽子が演じた。彼女につきまとう男は仮面ライダー二号を演じた佐々木剛。ヒロインの唯一の理解者である叔父を仲谷昇が好演。
原作を現代に置き換えたといっても三十年以上も前のドラマで莫大な財産をめぐり肉親内に起こる葛藤と殺人が見物の本格推理ドラマというよりサスペンスドラマ。
悠木さん(現在のきりんさん)がいい味を出している。さて犯人は?
いとこ同志 [DVD]
2人のいとこが同居しているのです。
そして、遊び人と生真面目で不器用な者と対照的であるのです。
大学は学士資格取得のための試験が最後にあるので、日本などよりは卒業の方がむずかしいもの。
転変ののち学生生活はどのように終るのか。
そこに焦点があります。