陰陽師 5 [DVD]
近年なぜか陰陽道や安部清明に関する書物が出ていたり、テレビ番組や劇場映画になったりしていると思ったら、若い人達や子供たちの間でブームになっていたんですね。聞き及んだところによると、大衆小説やコミック本が出ているそうな。
もちろん子供たちが平安朝の歴史や古典文学に関心をもつようになってくれたら、これにすぐること無しとて喜んでいたのですが、映像作品を見てがっかりしてしまいました。と言うのも、説話文学や浄瑠璃などに登場する安部清明の史談とは、ほとんど無関係に勝手な話を創り出して「オカルト好み」の若い世代に受けているに過ぎないからです。式神を全て女性に改変してあるのも、いかにも野暮ったい現代日本人向きで、少々通俗的に過ぎるというものです。
ただ、たんなる娯楽作品として見た場合は、それなりに愉しめるものと申せましょう。
陰陽師 [DVD]
七難隠す俳優の演技というものが繰り広げられる。
舞台劇と思えば納得できるような作り。
特に野村萬斎の全身に注意の行き届いた所作、存在感は得難い至宝と
感じる。日本の様式美を外人が絶賛しても実感がなかった人でも、
徹底的に様式に訓練された彼の身体能力に驚嘆するに違いない。
平安時代の狩衣姿で繰り広げられるアクションは彼にしかできない
ものであろう。即興で踊ったという舞も秀逸。
買って損はありません。
新・餓狼伝 巻ノ二 拳神皇帝編 (FUTABA NOVELS)
ひさしぶりの待望の新刊です。
今回は丹波文七、堤城平が、それぞれにカイザー武藤、グレート巽と戦います。
プロレスのリングの上で、それぞれが体重差のある相手に、自分の技が、力がどこまで通じるのか、そして勝てるのか、それを賭けて闘います。夢枕獏さんの作品は多々ありますが、己の強さを究極にまで高めて相手に勝ちたいという熱さがストレートに出ているのはこの餓狼伝のような気がします。圧倒的にタフで、試合巧者で、色々な仕掛けをもってくるプロレス界の雄を相手に二人がどんな闘いを繰り広げるのか。五年ほどのブランクのあいた作品ですが、読み始めるとすっと作品世界に入っていける筈です。
大人の文房具【文豪たちに愛された傑作文房具&書斎グッズ】 (100%ムックシリーズ)
物語のある「書斎&仕事」グッズたちは、作家の道具、万人の万年筆入門等文房具に関する内容で統一されたMOOKです。巻頭は、夢枕さんの作家の相棒と題するエッセイです。パソコン時代ですが、夢枕さんは、今や数少なくなった万年筆を使用する手書きの名手です。万年筆と紙が構築する手書きの原稿には、言葉以上の魂がこもっているそうです。そして、万年筆は、昔モンブランを使用していたそうですが、良くなくすので今は、セーラーに替えているそうです。
次いで作家の道具。漱石は、オノト(英国)の万年筆を使用していたそうです。現在は、生産されていませんが、デザインを模した製品が、丸善から販売されています。三島さん、開高さんは、モンブランを使用されていたそうです。吉川さんは、パイロット、向田さんは、ウォターマン、武者小路さんは、パーカー、井伏さんは、ペリカン・・等いずれも銘品を使用されています。そして、その万年筆入門です。万年筆の仕組、インクの吸入方法、万年筆のの選択法、どこで購入するか・・そして、5250円以下、10500円以下、31500円以下、52500円以下、52501円以上の5クラスに分類し、代表的な製品を紹介しています。そして、やはり最高峰は、モンブラン・マイスター・シュテック149でしょう(私もこれを所有していますが、勿体なくて使用していません)。
次に、なぎらさんの文房具散歩です。正統派として丸善日本橋店、万年筆専門店としてフルハルター、オーダーメイドで話題のカキモリの3店が紹介されています。次いで、ヘミングウェイ愛用のモレスキン(手帳)、そして、その使用法、最新製品のカタログが掲載されています。
次に、原稿用紙、そして、持丸さん、赤枝さんを始め各界のプロフェッショナル総勢10人の愛用文具とその拘りが披露されています。そして、最新の実用文具50傑が紹介されています。
やや万年筆重視のきらいがありますが、総てカラー写真で紹介され、文房具好きには堪らないMOOKになっています。興味のある方は、是非とも御一読を!!
陰陽師 玉手匣 1 (ジェッツコミックス)
まさか「陰陽師」の続編が出るとは思わなかったので、正直嬉しかったです。これから是非とも長く続けて、というかライフワークにして欲しいです。
岡野先生の画はますます素晴らしくなって・・・惚れ惚れ。普通の漫画ならセリフのところだけさらっと読んでしまうのですが、こればっかりは1ページ1ページ、絵画を見るようにじっくり見てしまいました。
それにしても岡野先生はとても博識。前作の最後のほうはもはや私の知識では全く付いていけなかったのですが、今回はだいぶ読みやすかったです。ところどころでクスリと笑えましたし。でもやはり仏像や密教についての知識はあまりないので、シリーズが進むと同時にぜひ勉強したいなあと思いました。でないとまたおいていかれそうな気がするので・・・