マーズ・アタック! [DVD]
映画館に3回観に行きました。豪華俳優が、喜んで悲惨な配役を引き受ける。日本ではありえるんだろうか。
この映画の翌年、『恋愛小説家』 -As Good as It gets (1997) で、アカデミー主演男優賞をとったアカデミー賞主演男優賞をとったジャック・ニコルソン。楽観的判断が最悪の結果をもたらす、バカ大統領の役。最後は、火星人に抹殺される悲惨な役。
当時、1994年に007のジェームズ・ボンド役のイメージが定着していたピアース・ブロスナン。常に判断を誤り、大統領に間違った判断を与え続ける、最悪最低のバカ科学者役。最後は首だけとなり、胴体はチワワになる悲惨な役。
エミー賞受賞俳優のマイケル・J・フォックスの場合は、登場まもなく、いきなり火星人に抹殺された上に、ころげおちた手首を、チワワにくわえられて持っていかれる、という、最大のチョイ役。
名優が喜んで出演するこの映画。監督の人格なのでしょうか。我が国では、考えられないかも。
この喜劇的映画。最近、どこかでイメージが重なるのは、原発事故対応をめぐる我が日本政府の悲惨な有様でありましょうか。
全体の掌握も判断もできなかった癇癪持ちのアホ首相。爆発などしませんよ、と謝った判断を伝えたマダラメガネバカ。嘘をつきまくったカンボーチョーカン。火星人に抹殺されてほしいと思います。
マーズ・アタック! [Blu-ray]
ティム・バートン監督によるB級SFコメディ映画。
本作には凄いところがたくさんあるが一番は出演者の豊富なこと。有名俳優が多数出演している。ざっと挙げると、ジャック・ニコルソン、グレン・クローズ、アネット・ベニング、ピアース・ブロスナン、ダニー・デヴィート、マーティン・ショート、サラ・ジェシカ・パーカー、マイケル・J・フォックス、ロッド・スタイガー、トム・ジョーンズ、ナタリー・ポートマン、ジム・ブラウン、ジャック・ブラック…。そして、人間女形火星人スパイにはティム監督の奥さんが!
これだけの主役級俳優が出演しているとはどんな映画なのか!?
初期のティム監督作品には共通したテーマがある。それは「他人から理解されない自分」というもの。自分は悪気はないのに周囲から攻撃されたり、差別の目で見られたり、迷惑をかけてしまったり。「フランケンウィニー」のワンちゃん版フランケンシュタイン、「シザーハンズ」の人造人間、「バットマン・リターンズ」のペンギン、「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」のジャックなどがその典型だ。これはティム監督の子供の頃からの心理の投影であり、彼自身の悩みでもあった。ティム監督の初期の作品はファンタジーであっても何だか孤独なパートがある。
そうした作風に終止符を打った記念すべき作品が「マーズ・アタック」である。
地球に襲来する火星人。何とか理解を試みようとする科学者。しかし、理解や調和どころか「話にもならない」。相手が火星人だから。この映画では互いに理解し合おうという努力をする人間側が滑稽にさえ描写されている。
他人は他人、自分は自分!!
そう気持ちよく吹っ切れた内容だ。
ティム監督が大好きな日本のSF映画へのオマージュも満載。ゴジラ映画でX星人をやっつけた方法が本作でも採用されているし、60年代ころのB級SFの懐かしさもたっぷり入っている。
音楽はティム監督作品ではお馴染みのダニー・エルフマンだが、彼の代表作ともいえる見事な楽曲であったと思う。
何はともあれ「壮大で馬鹿馬鹿しくも可笑しい」何も考えずに楽しく観られる映画である。