海狼伝 (文春文庫)
海のウルフというほど強烈な印象はない。危機からやがて南蛮船建造を経て大海へ乗り出そうとした活躍を海、舟、人びとに焦点を宛て面白く描いている。主人公の笛太郎もさることながら、ずる賢い小金吾、武者の雷三郎、船大工の小矢太の活躍が目立ち笛太郎の存在感が少なかった。歴史小説336作品目の感想。2011/10/11
ヘラクレス(日本語版) ― オリジナル・サウンドトラック
Disney は日本語吹き替えにしても
毎回、何の違和感もないキャスティングで
嬉しいです。
このOSTは日本語版ですが、
正直、英語版より良いと思います!
歌詞の内容がわかるし、聞いていて入り込める
というか、馴染みやすさもあります。
(得にメガラ〔工藤静香〕の"恋してるなんて言えない"は、
歌っている内容がわかった方が100倍いいです!)
それに、ゴスペル・トゥルース1は
吹き替え版の方がノリがある気がします・・・。
海のサムライたち (文春文庫)
この本はたしかNHKが製作した番組の底本だったとおもいます。番組も面白かったですが、この本もテレビの制約を超えて、その世界を広げており、楽しく読める作品になっています。
海に囲まれていながら激しい潮流のため、真の海洋国家とはならなかった日本ですが、その中で「主流」から敢えて外れて海上にその活路を見出した「海の男たち」の話は、自然とロマンに満ちてスケールが大きいものになっています。個人的には特に村上水軍と鄭成功の話には感銘を受けました。
普段あまり接することの無い日本史の一面に触れるという意味で、非常に為になる本です。
島原大変 (文春文庫)
「島原大変」も十分に面白いのだが、個人的には解説の西木正明さんも好きだと言う「ひとうま譚」をオススメしたい。
豊後の岡藩の九重連山が舞台。山好きの奇妙なお殿様(中川久清)に振り回される周囲の人間の悲哀を描いているが、九重に登ったことがあれば、面白さは倍になる。山好きをニコニコさせる時代小説というのは他に思いつかない。同じ九州人の松本清張に「西海道談綺」があるが、設定としては凡庸な山岳修験を描いたもので、英彦山に登ったからと言って、面白さが増すということはない。
山を描いた時代小説が少ないのは、おそらく、江戸時代には山登りを楽しみと感じる感覚はなかった、というもっともらしい話が影響しているのだろうが、こりゃ単なる俗説。江戸時代だって、大船山の鮮やかなミヤマキリシマに歓声を上げ、豊かな温泉に驚き、頂上からの眺めに感嘆していたはずなのだが、昔はその感覚を赤の他人に言葉で伝える能力も必要もなかったというだけの話である。
白石一郎なので、当然、筋立てもひとひねりしてあるのだが、珍しく留保なしの向日的な結末も心地いい。
他に大友義鎮を描いた「凡将譚」、豊後森藩主の狂気を描いた「海賊たちの城」。こちらはいつもの白石一郎。
鏡の中の野心 [DVD]
女優ひし美ゆり子。子供のアイドル(「ウルトラセブン」のアンヌ隊員)から大人の女神へと華麗な変身を遂げたアッパレな女優!
そのひし美ゆり子が、スクリーンに肢体を惜しげもなく投げ掛けた第一作目の記念碑的作品。
荒木一郎はせつな的に生きる詐欺師。個性的な荒木との情交に、ひし美の切ないほどの裸身がどこまでも眩しかった。
映画館でのリバイバル上映もままならない作品。買わなきゃ損です。